【風哭】 「狼哭、たまには一緒に出掛けようか」
【狼哭】 「……珍しいな。もう月が昇っている。黒耀の傍にいなくていいのか?」
【風哭】 「今日はいいんだ。姉さんだって、ひとりの時がいい日もあるからね。それに」
【狼哭】 「何だ」
【風哭】 「最近、君を構ってあげていなかっただろ? 寂しい思いさせたかなって」
【狼哭】 「……あのな。お前らは、揃いも揃って……」
【風哭】 「いいじゃないか。さぁ、叔父さんが遊んであげるから」
【狼哭】 「……いらねぇ」
【風哭】 「わかった。言い方を変えよう。叔父さんと遊んでくれ、狼哭」
【狼哭】 「…………」
【風哭】 「何でもいいよ。君の好きな事をしよう」
【狼哭】 「いや、だから俺は別に……」
【風哭】 「じゃあ、僕が決めるよ? 小さな頃みたいに、膝に乗せて絵本でも……」
【狼哭】 「俺が決める」
【風哭】 「そうかい? ……楽しみだ」
【狼哭】 「……はぁ」
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